カテゴリー: PROJECT

GIVERNYー企画 プロジェクトについて

 

2014年夏。

これまでの想いや行動が、一つの企画となりました。

 

 

・和モダンや和風といった、わかりやすいかたち、形式で表現しない、和の要素がある空間。

・都会にいながらも、現代社会から離れ、日常と自分らしく向き合える場所。

を創りたいという想い。

 

 

すべては、この想いから始まりました。

自分らしさとは、個人の感覚で楽しみ、想像すること。

それは、人によって捉え方が違う魅力、価値の固定化、言語化できない世界感にあると考えております。

個人の感覚、自分らしさを感じる時間を過ごすことによって、今までとは違う、気づきやきっかけと出会い、日常生活の捉え方や表現までもが変わるような、新たなライフスタイル、日常と繋がる場所。

情報、形式による価値の固定化が進む、現代社会、都会の中に、フランス・ジヴェルニー、モネ邸にある水の庭園のように、日常、自分のスタイル(生き方・ライフスタイル等)と向き合える場所があったらいいなと。

そのために、あえて都会に隣接する裏路地(中之島、堂島、西梅田・徒歩圏内)の小空間で、人によって捉え方が違う、価値の固定化ができない外来BAR文化と、そこだけに存在する想像性から空間を表現してます。

言わば、外来文化(BAR)と融合した”市中の山居”、都会(日常)の中にある非日常です。

この企画が、机上の空論、文字や言葉だけのコンセプトにならないように、オープン前から企画者とバーテンダーの二つの目線で取り組んでいます。(企画、コンセプトづくり、場所探し、デザイン、営業 等)

大阪福島区の路地裏に目立つことなくあった、ただ狭いだけの空き物件が、お客様の日常に欠かせない貴重な空間となることを信じ、イメージしながら。

※当ブログ・カテゴリーPROJECT内にて、物件の出会いから店舗オープンまでのご紹介ページがあります。よろしければご覧ください。

 

 

大阪・福島・路地裏、小空間との出会いからBARオープンまで

2014年夏からオープンまでのご紹介です。

その時に撮影していた写真、残しておいたメモ(日記)や記憶から当時の心境、想いを綴っています。

また、外来BAR文化と融合した日本らしい空間感覚・市中の山居をイメージした空間づくりの様子についてもご紹介してます。(元の物件の捉え方)

 

 

大阪福島で1つの空き物件と出会います。 それは、頻繁に人と車が行き交うなにわ筋から延びる細い裏路地を100メートルほど進んだところ にあります。

物件に辿り着くまでの細い裏路地は、現代性ある都会の街に囲われながらも、大阪福島の古き良き時代、文化、地域性を感じることができ、路地を進むにつれて、都会、日常から離れていく気持ちになれます。

まず、辿り着くまでのこのアプローチ(裏路地)が気に入りました。

そして、目立つことなく地味に存在していたのがこの物件。

元ネイルサロンの小空間。

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なにわ筋から裏路地を歩いてこの物件を見たとき、一目で惹かれました。

外と内の結界を感じる高めの段差、外より高い位置に存在する小空間、時 の流れを感じることができる南向きの窓。

日本に古くからある建物、空間の特徴がこの物件にはあります。

見た目は洋風ですが、海外にはない日本ならではの空間、BARにできると思いました。

そして、都会にいることを忘れさせてくれる昭和の雰囲気が漂う周辺環境。

都会にいながら日常と非日常の行き来ができます。

この小空間で、奏でる氷の音、グラスを片手に外来BAR文化、お酒のスタイルを楽しむお客様のシーンを想像しただけで気持ちが高まります。

目指すは、外来BAR文化とお客様の感覚が、融合された日本ならではのシーン、スタイルがある空間。

テーマ、文化ある場所で日常と向き合い、自分らしさを追求し、スタイルとして表現できる場所。

フランス・ジヴェルニーにある水の庭園のように。

 

 

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この路地の奥がなにわ筋。大阪の中心地にある高層ビルを背景にいい感じの裏路地です。 都会にいながら、日常と非日常を行き来できます。

 

 

 

 

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都会のなにわ筋から路地を進み、段差を越えて、出会う小空間。

 

 

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外より高い位置にある小空間。目立つ柱。そして、サイドからの光。それによってできる影。自分だけかもしれませんが、日本間、茶室といった日本的な建築空間とリンクしました。この壁面をBAR空間のメインにしようかと。。。その場合、実際にお過ごしいただくスーペースは、4畳半。 サイズ感からも、日本らしさをより感じてしまいます。市中の山居というような。 何かと喩えてみたり、心で感じて想像する空間こそ日本的空間要素だと考えています。建築資材、和素材を使ったよくあるビジュアルでわかりやすい、人目をひくためだけの構成で日本的な空間要素を表現するつもりはないので、この条件を生かしたいと思いました。 一般的に狭い小空間では、空間のコーナー(角)を有効利用するべきですが、壁面にバックバー、平行してカウンターを配置することに決定。

 

 

 

 

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この段差、外と内の高低差は、一つの結界(日常と非日常)的な役割を果たしてくれると思いました。そして、それに加え、外から狭い空間へ(ご来店時は)、狭い空間から外へ(お帰りの時は)というメリハリある変化、日常と非日常の行き来を感じれるのも魅力的です。この条件は目指したいBARに最適です。そして、この南向きの窓。採光の具合で、時の流れ、瞬間を感じさせてくれます。昼もしくは夕方前の早い時間からオープンすることに。4畳半のスペースにこの段差と、この窓。酒棚と柱。日本らしい空間のBARができます。

 

店内レイアウト、装飾に至るまですべての構成、デザインを自分で決めました。

物件すべてを改装してしまうのではなく、元ネイルサロンだった形式(外観等)も取り入れることに。

過去の存在も立派なデザインとして表現できるということは、ヨーロッパ巡りで、改めて認識したことです。

よくある、なんとか風(洋風、和風等)、和モダンといった視覚でわかりやすい形式重視ではなく、人によってさまざまな想像ができる、そこだけにしか存在しないオリジナリティあるデザインにするためにも、そこは外せないことです。

目標が決まったところで、一からショールーム、カウンター天板を探しに木材置き場、家具や看板の製作所などを周りました。

この物件をBARにするイメージを持てたのは、自分だけだったので、とにかく自分自身で動きました。

最終的には、「こんな狭いところでは無理でしょ」「予算的に無理」といったごく一般的なご意見が ある中、ただひたすら突っ走る私に向き合い、プランを実現するためにご協力いただいた建築業者の方、たくさんの方々に感謝しています。

 

 

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「ものづくりは東大阪」と思いやって来ました。いろいろと参考になることがあり、店で使う椅子が見つかりました。

 

 

 

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カウンター天板を探しにやってきたのがここ。ものづくりは東大阪、では木材は?大阪にあります。立派な木材所が。昔は本当にこの水に貯木をしていたそうです。

 

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「どれにしますか。奥の倉庫にもまだありますよ。」とのこと。

 

 

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別の倉庫。こんなにもあります。天板が。

 

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そして、選んだのがこのタモ材。後日、お伺いして厚みの調整をしてもらいました。

 

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現在のBARカウンターに使われている天板です。この状態で感動しました。まだ、空間は何にもできていませんでしたが。

 

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木材所で材料を購入し、木材置き場の近くで組み立てをお願いしていた棚も完成していました。集成材ですが、素材はウォールナットですのでいい雰囲気が出てます。

 

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日本のスタイルを感覚に取り入れているウィリアムモリスが、デザインした壁紙。酒棚のバックにはそれを貼ることに。

 

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完成している棚、選んだモリスの壁紙に合わせる照明探しに行ったショールームです。

 

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照明、酒棚に並んだボトル、モリスの壁紙によってバックバーを演出することに。よくBARで見られる棚の下から一段ずつ酒棚の全体を均等に明るく照明を入れるのではなく、両サイドの横から中心にかけて光を入れたいと思い探しました。設置できる寸法に余裕はなく、使用できる商品に限りがありましたが、なんとか見つかりました。しかし、まだ未発売商品だったため、納期が先になってしまい、当然オープン日も先延ばしすることになりました。この時、ため息が出たことを思い出します。

 

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これは、店内レイアウトの墨出し。自分がひいた平面図で職人の方が調整しながら、カウンターや冷蔵庫の位置を記しています。まじで、ギリギリです。この時、「いけるかなあ」と不安になったことを覚えています。

 

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カウンター土台完成。窓からの採光がいい感じで、やっぱり昼BARできたら、ええやろうなあと。

 

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自分で集めた使用材料の数々が納品されました。これは、建具と棚ですね。

 

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当然のことながら、天板は実際使う長さより長いです。設置する時に最後カットします。これはカットする前。ドアが閉まらないという事態になり焦りました。何とか角度をつけ、収まりました。あと数センチでドアが閉まらなかったです。

 

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カウンターが天板が、土台に設置され塗装が始まりました。バックBARの壁紙に合わせて色の調合、調整しながら塗装。

 

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養生シートを外してもらいました。なんとか計画通りに棚の設置完了してます。ライン照明器具も棚の裏にぎりぎり収まりました。壁紙は、ジャポニスム、日本の芸術に影響を受けたデザイナー・ウイリアムモリスが、日本の菊をイメージしてデザインしたものです。菊は日本の国花であり、神聖で高貴な花です。また、盃に日本酒と菊の花びらを入れる「菊酒」という風習も古くから日本にありました。神秘性、日本の酒文化とも関連がうかがえます。世界各国のお酒(生命の水)を並べる神聖な酒棚、ジャポニスムなバックバーに相応しいと考え、選びました。

 

 

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印刷所に依頼していたコースター完成。いい感じで空間の素材、雰囲気と合ってくれそうで安心。

 

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こちらが看板。吊り看板です。フランスの街で見た手書きの無垢材でできた突き出し看板がイメージにありました。こちらもタモ材の無垢板。看板職人に材料とデザインイメージをお渡しして描いていただきました。

 

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看板職人の方にもいろいろとお世話になりました。

 

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設置。木目具合がいいですね。無垢板特有の割れが出た時の風合いにも期待してます。それはそれで雰囲気がでるので。

 

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BARドア交換完了。「どんなドアにしたいんや?」と建具の職人の方に言っていただいたので、アメリカ禁酒法時代、スピークイージーのBAR扉みたいにのぞき穴を作ってほしいとお願い。「40年近くこの仕事してるけど、そんなん初めてやで。おもろそうやからやったるわ」と良心的に予算範囲内で製作、施工をしていただきました。しかも、無垢素材。「ええのできたやろ?商売がんばりや。」とさりげなく言う職人。今回の店舗づくりでは、たくさんの職人の方々に協力していただきました。

 

 

 

写真
塗装修了。

 

写真
想像以上の仕上がりです。

 

 

 

 

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現在の様子。

 

 

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店内、現在の様子。写真にある、広さ4畳半のスペースが実際にお過ごしいただく空間です。日本にあるBAR文化は茶の湯に通ずるものがあるとよくいわれてます。空間のコンセプト、イメージは、市中の山居と外来BAR文化の融合です。

 

 

 

 

 

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こちらはバックバー。旅行中に印象深かった光景、フランス・ジヴェルニーにあるモネ邸・睡蓮の池からインスパイアしています。光(間接ライン照明)、水(お酒)、植物柄(壁紙)によって演出。人によって水(お酒)に映り込んで見えるもの、見え方が違うはずです。鑑賞者が自分らしさを追求して表現する場所・ジヴェルニー。限られた狭いスペースに収める照明探しに苦労しましたが、光と影のバランスも良く、何とかイメージしていたバックバーが完成しました。

 

 

 

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昼のジヴェルニーです。南向きの窓が、予想通りいい感じ。土日昼は13時半~、平日は15時半~オープンすることにしました。 昼のジヴェルニーは、昼ならではの、自分らしさと向き合える光(日常)があります。お酒と日常の捉え方で、この時間からお酒を飲むという行為の意味や価値が、変わるのではないでしょうか。

 

 

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こちらは夜のジヴェルニー。酒棚、グラスのお酒(水)も全く違う映え方に。南向きの窓があるため自然現象による時の流れを感じることができます。夕暮れ時の、夕方から夜にかけて、おすすめです。時計なしで時の流れを感じてみるのもBARの楽しみ方の一つでよろしいかと思います。広さ4畳半の日本的な要素を感じるこの空間で、ゆっくり時の流れを感じながら、水(お酒)、外来文化(BAR)と向き合い、創造しています。店名のきっかけになったフランス・ジヴェルニー・モネ邸の睡蓮の池がある庭園のように。